20代の頃から沖縄に強烈に惹かれ続けているという社会学者の岸政彦さんによる、沖縄という場所をめぐる論考集です。
米軍の基地問題を抱え、「内地」とはまったく異なった歴史をたどってきた沖縄。風土も文化も独特だけど、それでもやはり日本であり、同時に、どこか、日本の他の地域との間に絶対的な「境界線」がある。
その境界の正体は何なのか、沖縄を知ろうとすればするほど、自分が「内地の人」であることを感じさせられる著者の逡巡がこの本の大きな魅力になっているように思います。沖縄に住む人も、沖縄が好きでよく観光に行くという人も、何か沖縄について感じたことがあるなら絶対に心に残るところがある本だと思います。
四六判/256ページ
(以下、公式サイトより)
はじめて沖縄に出会い沖縄病になって、勝手なイメージを沖縄に当てはめ、押しつけていた20代。本書はそんな著者の、やむにやまれぬ思考が出発点になって書かれた、切実な「沖縄論」です。この本には、初めて沖縄に行く人のための基本的な情報、その歴史や文化、そして観光名所の解説はありません。社会学者として沖縄をテーマにし、沖縄の人びとの話を聞き取りながらも、「ナイチャー」である自身が「沖縄」について語りうる言葉を探し続けて右往左往するのはなぜなのでしょうか。芥川賞・三島賞候補になった著者が描く、個人的かつ普遍的な、沖縄への終わることのない旅。著者による写真も多数収録。