ANATAKIKOU「3.2.1.◯」

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2,500円(税込2,750円)

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「大阪で3人組バンドとして結成、メンバーの脱退を経て松浦正樹主宰バンドとして活動するANATAKIKOUによる5年ぶり通算6枚目」というのがこのアルバムなのですが、過去のことは一切関係なく、このアルバムをいきなり聴いたとしてもそのポップでひねくれた世界は一瞬で伝わるはず。

「YeYe」をゲストボーカルに迎えた「うたになあれ」という曲が収録されているのですが、この曲の終盤の畳み掛けるような謎の歌詞。
未だメロディに乗せて歌われたことがない言葉やフレーズを、自然に音楽の中に持ち込もうとする意欲を感じます。
でもそんなこと何にも考えなくても気持ちよく聴けてしまうところがまた面白いです。

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収録曲目
1.november stop
2.いちいちみてみて
3.いついつであう
4.恋はマゼンタ
5.うたになあれ(feat.YeYe)
6.今日も明日も(2016)
7.救世主とカンツォーネ
8.絵に描いたモチーフ
9.万年筆とガールフレンド
10.MY DEAR

『ANATAKIKOUが0(ゼロ)にならなかった理由』
 ANATAKIKOUが5年ぶりにアルバムを発表する。2001年、大阪にて3人の男により結成され、2005年にはメジャーへ進出。だが、順風満帆の生活は、そう長く続かなかった。オリジナルメンバーが二人脱退し、現在は松浦正樹が主宰する劇団的スタイルで(ライブにより編成をかえる)、現メンバーとライブやレコーディングを行なっている。今作もインディーズからのリリース。マキシシングル「Release You!」(2012年発表)を最後にひとりとなり、活動休止を考えていた時期もあったという。そんな中で、大阪芸術大学で同級生だった映画監督山下敦弘からの誘いが、彼に刺激を与える。それは、関ジャニ∞の渋谷すばる主演で大阪が舞台の映画「味園ユニバース」への演奏出演依頼。「Release You!」収録の「今日も明日も」を渋谷が口ずさむシーンもあり、話題になる。活動休止まで考えていたバンドを、例えひとりでも背負い続ける覚悟が出来た松浦は、精力的にライブへ出向き、アルバム制作に励む。

 その強い気持ちは、アルバムタイトル「3.2.1.○」にも込められている。3人から2人になり1人になっても0(ゼロ)にはならず、○(まる)=正解を求めて、しぶとく生き続けようとする想いが伝わってくる。そして、何よりも楽曲が色褪せていない。XTCを始めとする80年代の洋楽と同じく80年代の昭和歌謡がルーツの松浦は、一筋縄ではいかない奇妙なポップセンスと何とも言えない湿り気がある和テイストを見事に共存させている。アルバムごとに新しい扉を開けるバンドもいるが、ANATAKIKOUの場合は全作品に共通する金太郎飴のような安心感がある。すなわち、一聴するだけで「ANATAKIKOUだ!」とわかる癖が凄いのだ。今作は新しいメンバーとの初共同作業ではあるが、ライブを積み重ねてきただけあって、確かな新しいグルーヴも生み出せている。

 リード曲でもある1曲目「november stop」にも顕著に表れているが、歌詞が今まで以上に踏み込んでいる。「東京は訳もなく今夜も246濡れている 信号はきらめいて何にも言わない」という歌い出しには、思わずゾクッとした。上手な言葉遊びで独特のファンタジー感を持っていた松浦の歌詞世界だが、今作は恥ずかしがらず怖がらず、悲哀や焦燥を真正面から描いている。夢を見過ぎた事、思い通りにいかない事を認め、間違いやお手つきも経験しながら、劣等感で潰れそうになった事すら笑い飛ばそうとする。だからといって、かしこまって重くて暗いわけでなく、カラフルでドリーミーという明るさも健在。最新作でありながら、初めましての人への入門編にもなるアルバムが完成した。是非とも多くの人に聴いて頂きたい。                  鈴木淳史(ライター・インタビュアー・ABCラジオ「よなよな…なにわ筋カルチャーBOYZ」パーソナリティー)

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ANATAKIKOUの音楽を「ひねくれPOP」と言いいきってしまうことは簡単だ。
だけれども僕にはそれだけでは言葉足らず。松浦くんの作る楽曲には絶妙な「和」のセンスがとても洗練された形で織り込まれています。だから僕は彼の音楽のとりこになってしまうのです。どこまでも我が道を突っ走ってほしい。心からそう思える、それが僕にとってのANATAKIKOUです。        
堀込泰行

ANATAKIKOUの新譜を聴くのはいつも幸せです。僕にとって志村けんさんの変なおじさんが唱える「だっふんだ」という魔法の言葉にANATAKIKOUは似ていて、歌を聴くたび、いつも変だという事を発見させられます。そこが毎回クセになるんです。ホント最高のストレンジポップミュージック☆     
桃野陽介(モノブライト)

ANATAKIKOUの音楽の多くは整理しきれない感情が化けて音楽の形になっているのかもしれない。そしてきっといつまでもそのメロディや詩が僕に取り憑く。「いついつであう」を聴くとそんな風に思ってしまいます。     
澤部渡(スカート)

惚れぼれするほどヒネくれてて、うんざりするほどロマンチック。ロックのように破壊的ではなく、ジャズほどは洗練されていない、絶妙な歪さやいなたさを耳障りのよい中毒性へと昇華させる、ANATAKIKOUという名のポップス変換装置、ここにあり!      
井口啓子

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