昭和初期、ラジオがまだ高価で各家庭にまでは到底普及していなかった頃、ラジオを街頭で聞くために作られたのが「ラジオ塔」です。塔の内部にラジオとスピーカーが内蔵され、その周りに集まれば人々はラジオ放送を聞くことができたのです。
戦争中にさらにその数を増やし、最盛期は全国に465以上のラジオ塔が存在していたそうです。現在ではそのほとんどが失われ、残っていたとしても何のための塔なのか知る人もいない状況。しかし、一幡公平さんが現存するラジオ塔を撮り集め、2014年に「ラヂオ塔大百科」というミニコミを出版したことによってその価値に注目が集まるようになりました。
本書では、既刊の「ラヂオ塔大百科」制作後、さらに新しく発見されたラジオ塔を多数紹介しています。また、一幡さんの活動がきっかけとなって改修・復元されたラジオ塔に関するレポートなどもあり、誰もが見落としがちなものを丹念に収集してまとめ上げることの価値を改めて感じさせてくれる一冊になっています。戦前戦後の歴史の一面を語る資料としても貴重です!
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(作家作品紹介)
「ラジオ塔」とは昭和の初め頃に日本各地に建てられた“街頭ラジオ”。灯篭のような塔にラジオが内蔵されていました。
公園など公共の場所に建てられ、当時、ラジオ塔の周囲では多くの人が放送に耳を傾けていました。
本誌では、あまり知られていないラジオ塔について、分かりやすく親しみやすく紹介しています。
2014年に作った「ラヂオ塔大百科」では全国に残る28か所のラジオ塔を紹介しましたが、今回は37か所に増加。
今まで未発見だった名古屋や大阪、長崎、香川などのラジオ塔を新規掲載。
さらに日本統治時代に作られた台湾のラジオ塔3か所も紹介。
(前回の「ラヂオ塔大百科」で紹介したラジオ塔は、本誌でも網羅しています)
また、ラジオ塔を復活させ活用しようという、最近の動向についても取材しました。
巻末にはラジオ塔があったとされる全国465か所の設置場所一覧を掲載。
これを元に、未知のラジオ塔を探してみませんか?
著者・写真 : 一幡公平
編集 : うずらスタジアム
発行 : タカノメ特殊部隊
2017年8月発刊 B5サイズ フルカラー72ページ