歌人の樋口望さんが短歌と、イラストレーターの高橋奈央さんがその短歌を受けて描いた絵を収めた共作本です。
基本的には短歌と絵とが対になっていて、相互に響きあうように生まれる静かな空気が胸に残る一冊です。
13×13cm / 54ページ
(以下、公式インフォより)
短歌と絵の本です。
二人の作家が絵と短歌をそれぞれ担当しました。
内容について、あとがきより抜粋します。
『何年か前のことです。自分の内側の波と外側の波に揺られてぐらぐらしていた私は、好きなものばかりで防波堤のようなものを作り、そこに半分埋もれるようにうずくまって動けずにいました。好きだった本もまともに読めないのに、好きだったという記憶から安心感を得られるような気がして、本は手放せませんでした。安心できることが何よりも大切な時期でした。
しばらくすると、防波堤の上に登って、まわりを見渡すことができるようになりました。インターネットの海の向こう、対岸に見えるのは写真や絵、色々な方の生活の気配で、私はそれらに勝手に励まされました。その人たちと時々お話しをしたり、いいねと静かに伝え合ったりすることもあります。以前からの友人もいれば顔も名前も知らない人もいて、でもそんなことはどっちでもよくて、そのやり取りのなかで、本当の意味で言葉が通じたような、そんな気がするときがあります。そのとき私は、決して大袈裟ではなく、生きてきてよかったと思います。この本は、対岸にいるあなたに大きく手を振るような気持ちで作りました。(樋口)』
『私が今回描いた絵は、いただいた短歌を詠み、そこから見えた景色や自分の思ったことを樋口さんに返信するような気持ちで描いたもので、短歌を視覚的に説明することは目指しませんでした。その短歌と絵の関係性や距離感は、タイトルの対岸という言葉そのもののように思います。距離は縮めず、抱え込むものはそのままに、お互いの存在や気配を感じ、時に応えることができたら、自分にとってそれは十分な救いになり得ます。この本が誰かにとっての対岸となってくれたら幸いです。(高橋)』
お手にとっていただけるとうれしいです。