(公式インフォより引用)
傷心のOLがいた。秘密を抱えた男がいた。
病を得た伴侶が、異国の者が、単身赴任者が、どら息子が、居候が、苦学生が、ここにいた。
――そして全員が去った。それぞれの跡形を残して。
驚きの手法で描かれる、小さな空間に流れた半世紀。
今はもういない者たちの一日一日が、こんなにもいとしい。
優しく心を揺さぶる著者最高作。
谷崎潤一郎賞を受賞した、アパート小説の金字塔。
〈解説〉村田沙耶香
著者プロフィール
長嶋 有 (ナガシマユウ) (著/文)
長嶋有
一九七二年生まれ。二〇〇一年「サイドカーに犬」で文學界新人賞、翌年「猛スピードで母は」で芥川賞、〇七年の『夕子ちゃんの近道』で第一回大江健三郎賞を受賞し、〇八年には『ジャージの二人』が映画化された。一六年『三の隣は五号室』で谷崎潤一郎賞受賞。その他の小説に『パラレル』『泣かない女はいない』『ぼくは落ち着きがない』『ねたあとに』『佐渡の三人』『問いのない答え』『愛のようだ』『もう生まれたくない』『私に付け足されるもの』、コミック作品に『フキンシンちゃん』、エッセイ集に『いろんな気持ちが本当の気持ち』『電化文学列伝』『安全な妄想』等がある。