人が行き交う町の中から物語を感じさせる瞬間を切り取る写真家・オカダキサラさんによる写真集です。
「見本帳製本」という凝った作りになっていて、写真一点一点がポストカードのようにバラバラな状態で束ねられています。写真の隅々まで見やすい作りです。
「2018年から2019年夏までの東京の街並みと人波を写したもの」だという写真の中には、大勢の人たちがそれぞれ個別の人生を生き、異なる目的を持って同じ場所にたまたま存在している、というような情景が多く見られます。1枚の写真の中の情報量の多さに思わず笑いがこみ上げてくるようなものがたくさんあるのですが、よく考えてみれば町とは本来そのようなものです。
バラバラな人々の色々な思惑を受け入れる器のような東京の姿が浮かび上がってくる一冊です。
89mm×127mm/80ページ
(以下、公式サイトより)
本書は東京オリンピックを目前に控えていた、2018年から2019年夏までの東京の街並みと人波を写したものです。
五輪開催を目前にした当時の東京の街は賑わってはいたものの、どこか空回りしているようにも感じていました。大事業を成し得ようとするには、あまりに心もとない結束力だったからかもしれません。オリンピックを目処に、日本の経済活動は悪化するのではないかという懸念も常につきまとっていました。
そんな空気が漂う秋にこの本の制作を企画し始めました。「やさしくやさしく閉じてください」というタイトルには、オリンピックの閉幕が悪いことばかりではなく、次の良き始まり予感させるものになってほしいという願いを込めています。
今の状況でも、そう祈らずにはいられません。