(公式から引用)
日本に約2,000人が暮らすと言われるクルド人。トルコ国内での差別や迫害から逃れ、すでに四半世紀近い歴史を日本で積み重ねている。生まれた地から遠く離れた異国で、何を食べ、どう生きているのか。
「世界3大料理と言われるトルコ料理の多くは私たちの料理」と胸を張る「美食の街」のメニューの数々。サラダ・前菜、スープ、メインディッシュ、主食、スイーツ…、彼らが自宅で作る33のレシピをフルカラーで掲載している。
巻末には在日クルド人最新情報と女性たち・高校生から聞いた食事にまつわるエピソードを収録した。
目次
日本に暮らすクルド人の家庭料理
クルドの食材
クルドの調理器具
これだけでも満足な一品
カトマジャペニール/クロル/ラマジュン/ゲルミ
しっかり食べたいとき おもてなしのとき
バージャネダギリティ/ケバブアバージャナ/ケバブビバゼ/パタタゴシュティ/タワパタタ/ヨネヤパタタ/バミヤテルシュ/ファスレフシク/ドルマ・サルマ
肉と一緒にスープはいかが?
メヒル/ショルベニスカン/ローヒク/ケシュク/シュベディス
もう一品ほしいとき おしゃべりのおともに
ジャージャク/スパナマスト/ノナマスト/バージャネマスト/サラタ/クスル/クフテフシク/クフテニスカン/クティリク/トゥルシュク
甘いものはみんな大好き!
ドトゥル/レワニ/テナシール/ウルメク/ケレビス
在日クルド人はいま
隣人としてのクルド人/Q&A:女性たちの食卓/座談会:十代の食卓
ROJI NO KOUBOUから
コラム
日本の道具を上手に活かす
発酵調味料、サルチャ
「ヨーグルト」と呼ばれる発酵乳の話
ペクメズ
ソフレという「食卓」
カウェヤケズワン
前書きなど
日本に暮らすクルド人の家庭料理
あまり知られていませんが、この日本にもトルコから来た2,000人あまりのクルド人が暮らしています。本書ではそんな「日本に暮らすクルド人の家庭料理」を紹介していきます。
山岳地帯に暮らし、遊牧生活をしてきたクルド人の料理には、さまざまな季節の野菜や果実が使われ、チーズやヨーグルトといった乳製品も欠かせない食材となっています。
利用する肉は羊や鶏が主です。牛は食べますが、豚は食べません。季節の野菜や豆類を乾燥させて蓄え、利用していた食生活の様式。日本に暮らすようになっても継承されています。チーズやヨーグルトだけでなく調味料にも、気候を活かして作りつづけられてきた発酵食品が、多く取り入れられています。ブルグルやクスクスと言った穀物も多く使用されています。
川口市には、クルド人の経営する輸入食材店ができ、それ以外でも羊肉はじめ西アジアからの輸入品を扱う店が増えて、食材も比較的容易に手に入るようになりました。
東京・北区、JR十条駅近くにある日本で唯一のクルド家庭料理店「メソポタミア」。この店の紹介文には、「メソポタミア北部の山岳地帯にクルド人は数千年前から住み、シュメール、ペルシャ、アラブ、そしてトルコの影響を受けた独自の文化を育んできました」と書かれています。トルコ料理として馴染みのある料理も登場しますが、これらの料理を紹介してくれたクルド人は「トルコ料理として知られるその料理も、もともとはクルド料理だ」と語っていました。
本書では、クルド語での料理名をカタカナ表記しています。また、トルコでの料理名をトルコ語で、そして料理の内容をわかりやすくする日本語名も併記することにしました。
新しい味の世界を広げ、彼らの日本での暮らしに思いをはせていただければ幸いです。
著者プロフィール
中島 直美 (ナカジマ ナオミ) (著/文)
2016年 クルド料理教室「Rojbinkitchen」参加をきっかけに「クルド文化教室」を始める。
2019年 創curu合同会社を設立し、事業として料理教室、オヤ教室の開催、オヤ製品の販売を始める。
2022年 「ROJI NO KOUBOU」始動。