油絵画家として活動する平田基さんのマンガ作品集です。
鉛筆で描かれた全コマが絵画のようなマンガは、精巧な筆致ゆえ生々しい感触を想起させますが、反面そのストーリーはSF的でもあり、眠っている間に見た夢のようでもあります。
稲垣足穂を連想させるような鮮やかに飛躍する物語と線の美しさに静かに圧倒される一冊です。あえて寸足らずなサイズにカットされた函も含め、装丁も非常に凝っています。
A5/180ページ 函入り
(以下、公式インフォより)
雲煙模糊漫画集
「居心地のわるい泡」
鉛筆で描かれる、線、線、線。
生き物のはなし、人間の営み。
どこか別の世界線か私たちと同じ地平線か。
14編の物語と散文。
著者 平田基
装丁 浦川彰太
編集 稲垣佳乃子
印刷 藤原印刷
発行 さりげなく
2022年10月1日 初版発行
価格 2000円(税別)
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タイトルの前につく雲煙模糊漫画集の“雲煙模糊”とは曖昧模糊という言葉と同義語です。でも曖昧模糊よりも、儚く、消えていきそうな雲や煙の存在を尊ぶような愛おしむような、曖昧なことに寛容な雰囲気が雲煙模糊にはあるような気がします。わからないから描くんです。という基さんの言葉とともに歩いてきました。この曖昧さを、わからなさを、大事にこれからも本を作っていけたらいいなと、基さんと本を作りながら思いました。そして、何年も何十年も前からそんな本たちに支えられて生きてきたな、と思い出しもしました。そこにあるのに消えていくような、でも確かにどこかにある存在。この本を、ぜひ、みなさんへ。 (編集担当)